無題

電車が通って、雑然としていたホームががらんどうになったのを見て、電車を人攫いのようだと思った
向精神薬を飲んだ後、ベランダの手すりに座って空を仰ぎ見た時、自分がまるで息継ぎに喘ぐ魚のようだと思った
こういうくだらない感性があるかぎり、まだわたしは人であって、まだ死ねないと思った
人知れず枯れる花を見かけて何も感じなくなった時、その時には死のうと思う